財源・財政問題について
個別の政策や、当面のやりくりについては、いわゆる「財源論」が課題になります。
被災者への医療費・介護利用料の免除措置復活はまさにこの課題です。奥山市長は、「財政難」を理由に拒否したそうですが、まやかしです。
3月まで行なわれていた国民健康保険加入者の医療費免除と、介護保険利用料の免除を行なうレベルに戻すのには、国が8割負担し、残りの2割を市が負担するとして約15億円です。これを出したら、仙台市の財政が破たんするような話ではありません。
例えば、地下鉄東西線建設のための基金には、毎年の一般会計から約40億円ずつの積立を行なっています。前年度末には約480億円も貯金があります。当面は、新たな積み立てをやめて40億円を緊急の事業に充てることは十分可能です。それで、地下鉄の工事が遅れることはありません。
市の負担も、毎年15億必要ではありません。県に半分の負担を求める、国に全額負担を求める、まさに真剣に取り組み実現するつもりなら、一時の負担でしかありません。
その他にも、敬老パスをもとに戻す6億円や、国保料の一人1万円の値下げの25億円などの財源、当面のやりくりも同様に対応可能です。総額2940億円の基金から一時借りること、国に復興財源を迫ることなどです。
一方、自治体の重点的な施策や、長期的な努力方向について議論する際には、財政論が大切です。仙台市の財政のあり方について、市はこれまで十分な情報を市民に知らせず、「お金がない」と繰り返してきました。お金がないのにどうして、大型公共事業や開発には次々と手を付けるのか、市民には納得できない財政運用です。
私たちが考える、仙台市の財政の特徴と、健全化の方向を大まかにお話しておきます。
2011(H23)3.11以後の市の財政は、復興事業費が膨らんで通常の財政構造とは違ったものになっていますが、ベースとなる構造は震災以前のままです。日本共産党市議団が2010年11月にまとめた資料でその特徴を見ていきます。
①市の財政を悪化させた原因は?福祉でも人件費でもない
公債費(市債返済のための経費)の増大 (P31)です毎年の返済額は高レベルでさらに上がる傾向
2008年のデータで、公債費の占める割合は16.4%で18政令市中15位
一人あたりの額では12位 66、274円:1年で返した額
公債費が増える理由は、借金を多くするから(P29)
毎年の新たな借金額、奥山市政で増やしてきた
返済額増やしても残額は減っていない
借金の理由は「赤字だから」ではない、
「公共事業にかかる負担を世代間で分担するため」
ゼネコン汚職が起きた仙台市の特異性(P40)
バブル崩壊後も年1000億超える+市単独事業が大半を占める⇒借金は増えるばかり100億の事業を行う時、市債発行額は?
国の補助事業⇒半分は国補助、50億の半分を一般財政、半分を市債:25億
市の単独事業⇒100億の半分を一般財政、半分を市債:50億
○公共事業は投資的経費、財政力に見合った支出に抑えることが大切
○むやみに市単独事業を増やすことは、あとあとに影響大
※市の「財政見通し」は考え方が逆。(P58、59)
過大な公共事業の計画を行なうために、福祉予算や義務的経費を抑えるという考え方。
※「財政計画」がない。仙台市基本計画でも、復興計画でも
②民生費(福祉予算)の割合が少ない
政令市の中で最下位レベル (P4)2011(H23)年度決算でも、26.9%で、20政令市中最下位
市民一人あたりの民生費の額は、2008年度で、平均額より3万円少ない(P6)
この時点では約300億円福祉予算を増やして平均並みの福祉に
2011年度決算では、1万3500円の差。143億増円増やして政令市の平均並み
被災した市民の生活を支えるためには、「政令市平均並み」では全然足らない。
③政府の地方交付税削減や、国保での負担削減が
地方自治体財政悪化のもう一つの元凶
地方交付税(P21)、国民健康保険(P46)災害の復旧・復興に必要な財源は国の手当てが必要
地方交付税を削り込んでおきながら、
保育費を補助金から一般財源化したことも重大
地方自治体が住民に必要な事業を行うための財源は国に補償させるため
たたかってこそ自治体の責任が果たせる
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